女性たちの現状と課題

仙台市が「男女共同参画せんだいプラン 2016(計画期間 2016 年度~2020 年度)」の見直し作業に着手するのを機に、2019 年、子育て中の女性、高齢女性、非正規職の単身女性を対象に「仙台に暮らす女性たちの現状と課題」調査を実施し、結果を提言にまとめ仙台市に提出しました。 

また、2023年からは官製ワーキングプアについての学習会を実施しています。

これまでの取り組み

官製ワーキングプアについて考える学習会

「仙台に暮らす女性たちの現状と課題調査」を通して

日時:2023年5月29日(月)13:30~15:30分(参加者 18名)

会場:エル・パーク仙台 創作アトリエ

報告:「仙台に暮らす女性たちの現状と課題」調査から ー非正規職単身女性の現状と課題ー

    内田有美(特定非営利活動法人イコールネット仙台 理事)

   「会計年度任用職員」について

    樋口典子さん(仙台市議会議員・仙台市職員労働組合特別執行委員)

 

非正規職員の増加と正規職員との待遇の格差は民間だけでなく公務員の中にも存在しており、「官製ワーキングプア」と呼ばれる状況が生まれています。2019年、イコールネット仙台が実施した「仙台に暮らす女性たちの現状と課題」調査においても、その現状が浮かび上がりました。そこで、「官製ワーキングプア」をめぐる課題について考えました。

 

<アンケートから>

★非正規に関して問題が大きすぎてどうしたら解決できるのか?無力と思っていたが、仲間・見方がたくさんいることがわかり安心した。「自分が黙っていると次の世代の人たちのためにもならない」という言葉にハッとした。

★非正規職員という立場に至るまでの歴史・経過がよくわかった。「定数管理計画」は初めて聞いた。

★非正規職員の置かれている立場がとても弱いことを実感した。お互いに手をつないで地位向上、そして職員の質の向上に繋がり、それが市民生活の向上につながることを自覚して頑張ってほしい。

★会計年度任用職員当事者。公務員の非正規の問題について改めて学習したい。

「仙台に暮らす女性たちの現状と課題」市民学習会

女性の老後と社会保障

自分らしい「老い支度」をすすめるために 知っておこう社会のしくみ

日時:2020年11月15日(日)13:30~15:30(参加者 43名)

会場:エル・パーク仙台 セミナーホール

講師:熊沢由美さん(東北学院大学経済学部共生社会経済学部教授)

社会保障の中では、女性は経済的に夫に扶養され家族のケアをすることを前提に位置づけられている。年金についてみると、年金額を決める際の標準世帯は 40 年間会社員として働いた夫と専業主婦のその妻という組み合わせがモデルになっており、まさにここに社会保障での女性の位置づけが出ている。こうした背景のもとに、物価と賃金に応じて年金額が変化するしくみになっている。また、医療と介護については、国民皆保険から老人医療費の無料化、その後の後期高齢者の医療費拡大からの介護保険の導入という流れがある。さらに、地域包括ケアシステムにより医療のあり方も変わり、住まい、医療、介護予防等を地域で一体的に取り組む自助・共助・公助・互助がすすめられるようになった。地域の病院機能の分化による医療機関の使い分け、施設介護から在宅介護へ、そして今、介護労働者の不足等も課題として浮かび上がっている。

「仙台に暮らす女性たちの現状と課題」市民学習会

子育て中の女性を取り巻く社会保障制度とその課題

日時:2020年9月17日(木)10:00~12:00(参加者 11名)

会場:エル・パーク仙台 創作アトリエ

講師:熊沢 由美さん(東北学院大学経済学部共生社会経済学科教授)

子育て中の女性が利用できる制度には現金給付(児童手当等)と現物給付(保育所、児童館、児童 相談所等)があり、働く女性を対象とする制度については、子どもの看護休暇や所定労働時間の短 縮措置等がある。一方で、社会保障給付費は、日本の場合、対象別に、高齢者関係給付が 66.3%と 最も多く、児童・家族関係給付は 7.5%と大変少ない。その背景には、個人の生活を支えるのは家庭 と企業という日本型福祉社会の考え方があり、少子化社会の到来に対する認識が低いといえる。ま た、共働き世帯が増えているにもかかわらず、妻は夫の扶養に入ることが前提の専業主婦世帯を標 準モデルとした年金制度により、様々な支障も出てきている。今ある制度を活用しながら、その改 善点を世論につないでいくことが必要ではないか。

「仙台に暮らす女性たちの現状と課題」市民学習会

どうして私たちは輝けないのだろう ―非正規職シングル女性の現状と課題―

日時:2020年8月22日(土)13:30~15:30(参加者 24名)

会場:エル・パーク仙台 セミナーホール

講師:菊池悦子さん(第1回日本女性学習財団未来大賞受賞者)

私は、ノンエリート、シングル、非正規職の女性たちは社会の中で見えていない存在なのではないか、私たちのような存在を社会に発信していきたいと考えレポートを書いた。

女性活躍が言われる中、私は正規職でキャリアとして経歴に残るような仕事に就いているといった輝く女性のイメージとは程遠く、非正規職を転々として履歴書に書けるような職にも就けずに 35 歳を超え、もう正規職に就くことはできないと考えている。結婚もしないかもしれないと思い、変化のない生活が一生続くのかなと感じ始めていた。デパートの販売員として半年毎に契約更新を繰り返しながら働き続けている状態で、ボーナスも出なかったし、東京の最低賃金と同じくらいの時給で働いていた。東京郊外でワンルームに住んでいたが、あまりにも生活が苦しくて実家に戻ってきた。正社員になれることもないということはわかっていて、働くことへの不安や将来に向けて希望の持てない絶望感を抱えていた。一方で、自分は何者なんだろうというアイデンティティの問題も悩みとして大きくなっていた。

現在、大学で学ぶ中で、私たちのような状況を生み出した社会背景には、非正規雇用率の上昇、未婚率の上昇、7050 問題、8050 問題等があること、また、「稼ぎ主の男性と家庭を守る女性という固定的な価値観が大きく影響しているのではないかと考えている。若年層でもなく、無業でもない、シングルマザーでもない非正規シングル女性への支援策が必要であることを強調したい。

 

<アンケートから> 

★私自身、非正規職で働いています。同じ不安や悩みを抱えていることがわかりました。日々の

生活で精一杯でしたが改めて働くことについて考えさせられました。

★非正規職の概念は一つではなく、時代による変化、未婚率の高さ、貧困問題など奥深いことに

改めて考えさせられました。

★非正規職で働く人は減らないので、同一労働同一賃金の考えを確立させなければならないと思う。

講演とパネルディスカッション

無業の若年女性の現実と自立支援

日時:2016 年6月5日(日)

会場:エル・パーク仙台 セミナーホール

参加者数:29 名 

 

1部 講演

ガールズ「ゆるーり仕事準備講座」を通して見える無業若年女性の 現実と自立支援

渡邊ひろみさん((公財)せんだい男女共同参画財団 エル・ソーラ仙台 管理事業課長)

 

2部 パネルディスカッション

<パネリスト>

後藤美枝さん(仙台市生活自立・仕事相談センター「わんすてっぷ」自立相談支援部 課長)

渡邊 ひろみさん

 

<コーディネーター>

佐藤理絵さん(河北新報社夕刊編集部 担当部長兼論説委員)

 

社会の中に埋もれがちな、様々な困難を抱える女性たちの現状に目を向ける「女性と人権」講座の3回目。定職を持てない若い女性たちの困難、深刻な状況に焦点を当て、その支援のカタチを考えました。